テーテンス事務所の今後の建築デザインとの対応


 今後の建築デザイン及び設備システムの基本的な設計ビジョンは、地球上 のエントロピーの増大につながる資源エネルギー時代の建築への取組み(エネルギー多消費型の機能主義建築や機械万能設備システム)とは異った価値観に基づいたものとなります。従って、地球上のエントロピーの増大を、極力少なく抑えるために、環境エネルギー利用による省エネルギー、省資源型の建築への取り組みが必然的に求められてきます。

 当事務所は、今後の環境エネルギー時代の建築デザインに対応し、しかも地域社会に融合した設備システムの開発に努力すると同時にバッシブ建築思想ともマッチした設備設計を併せて行ってゆく所存であります。

 例えば、具体的な例として環境エネルギー利用建築の一つであるソーラーシステムを、従来のエンタルピー効率でなく、近年重要視されているエクセルギー理論で設計した場合を説明してみましょう。

 エクセルギー理論によれば、どれだけ太陽からエネルギーを獲得したか(従来のエンタルピー効率)と言うことではなく、獲得したエネルギーがどれだ け有効なものになったか(エクセルギー効率)を併せて考えなければなりません。

 即ち、気温より1℃でも高い大容量の給湯を作るというのではなく小容量でも気温より何度高い湯が得られたかというファクターを取入れ、それに比例して得られた熱の有効度が増大するという新らしい考え方であります。

 従来のように集熱用に大きな1個の蓄熱タンクを使用するのでは、せっかく温度の高い給湯水が得られる正午前後でも、前からタンク内にある温度の低い大量の湯と混合して、エネルギー効率は見かけ上では増えても、実際はエクセルギー(有効エネルギー)を失う操作をしていることになります。

 エクセルギー理論の応用によって、蓄熱タンクを少容量のタンクに二分割し午前中に小容量の給湯水を高温に上昇させ、低い温度しか得られない午後には蓄熱タンクを全く使用しないで直接床コンクリート躯体のパネルヒーテングコイルにより蓄熱すればエクセルギーはほとんど失われません。よって、100度とか500度とかの産業用の高温域には化石燃料を必要としても、60℃(給湯用)・40℃(床パネル用)程度の低温域には環境エネルギー(大陽エネルギー)の利用が望ましいと考えます。

 即ち、エクセルギーは、高温・中温・低温と熱を段階的に質に応じて使用するのが望ましいわけです。
【実例:平板型コレクター57uに対して、1個の3000gの容量の蓄熱タンクを設置したのでは晴天時でも冬期の給湯水の温度はヘ40℃以下にしか上昇せず常に補助熱源を必要としますが、例えば蓄熱タンクを700gと2300gの容量の物に二分割すれば冬の午前中に700gの給湯タンク内の水は70℃以上となり、午後には床コンクリートに40℃前後の温水を直接送水することが可能で、その結果床表面温度は25℃以上となり、室内の体感温度は20℃前後になるため、冬期でも補助熱源への依存率は低くなります】