床暖房について


・床暖房の快適性

   放射暖房としての床暖房の快適性は、現在では一般的に広く認められています。
  床暖房の大きな特長は、放射熱と伝導熱によって「頭寒足熱」となって、暖かさが柔和で、特に老人や健康
  を害している人に優しい環境を保てる事です。その他の特徴を以下に簡単まとめます。

   @室内の上下温度差がほとんどない。
   A室内に暖房器具を設置しないので部屋を広く使える。
   B空気の汚れやホコリの舞い上がり、騒音の心配がない。
   C室温を低く抑えても体感温度は実際の室温より高くなるので室温は温風暖房より低くしてもよく「エアコン
    の欠点である室内の乾燥し過ぎ」も防げると同時にさらに空気の膨張により 逃げる空気も少なくて、熱損   
    
失が少ない。
   Dイニシャルコストは、他の対流式の暖房方式に比べて高くなるが、ランニングコストは約3〜4割安くなる。
   E床パネルの形式により異なるために一概には言えませんが、立ち上がり時にエネルギーを多く使うの
    で、連続暖房を行う場合に有で間欠暖房にはあまり適さない。


・床暖房の本質
   床暖房を放射熱からではなく、接触温度環境の面から見ると非常に興味深いものがあります。だれでも経  験することだと思いますが、夏に板張りの床に寝転がるのは、大変気持ちがいい し、冬に腰掛便器に座るとゾ クッとしていやな思いをします。これは、人体が空気に触れている部分よりも、他の物に接触している部分の方 が体感への影響が大きいことを示しています。

  次に生理学の仮説の中に、人や動物の暑さや寒さの温度感覚は、体の表面温度ではなく熱が体から逃げて  (放散)いく速さによるという考え方があります。これは、熱流理論と言われており、人間の場合には、体温の  放散がある数値(安静時52W/u程度)より、速くなると寒く感じ、遅くなると暑く感じます。このことを、床暖房 に当てはめてみると、室内の上下温度差が少なく、接触面よりの影響もあって、人体の熱発散速度がゆっくりと なるために室温が少し低めでも寒く感じません。


・低質熱源による床暖房

   日本の気候の特徴は、東京を例にとると、夏に「高温多湿」で、冬は「低温低湿」であることです。暖房する  場合には、低い温度と湿度を共に上げたいのですが、空気の性質として、温度を上げると湿度は下がってしまい、この現象はエアコンによる暖房では顕著に出ます。床暖房の特徴で先ほど述べましたが、床暖房は空気を直接暖めないので、空気が乾燥し過ぎることがなく、特に加湿の必要がありません。また、熱源を温水とした床暖房の温水温度は30〜40℃程度でよく放熱器(パネルヒ一夕一、ファンコンベクター等)では50〜60℃の温水温度が必要となりますので、これだけの必要温度を維持するためのエネルギーは大きくなってしまいます。このことは重要で、たとえば太陽熱による床暖房も十分可能となり、環境に優しい暖房と言えることです。


・床暖房の選定

   床暖房の熱源(放熱面)には、電気式と温水式がある電気式は通常電力型と深夜電力型があり、温水式には高温水型(60〜80℃)と低温水型(30〜50℃)があります。特に電気式の床暖房は、設計、現場施工、取り扱いも含めて容易なために、簡単に選んでしまう傾向が、一般的に言って多いと思われます。床暖房の特徴として、ランニングコストの安さを先ほど述べましが、長時間使用する場合には、ランニングコストを低く抑えるために、熱を放熱するだけではなく蓄熱させることが重要となります。ある現場の実例では、床スラブに温泉熱を利用した30℃の低温水を循環させて、24時間連続運転を行い十分な暖房効果が得られています。
 採用する床暖房の選定は、電気式又は温水式のいずれの場合でも、使用状況を充分に把握して、放熱面のタイプと形式の選定をするのが重要です。


・最近の床暖房

   まず、電気式の場合、割安な深夜電カ(業務用もある)を利用して、電気式の欠点である高いランニングコス  トを安くするものが発売されています。主に蓄熱体として、床スラブ(コンクリート)に蓄熱する顕熱蓄熱と物質  の状態変化(液体→固体)時の凝固熱を利用する潜熱蓄熱があります。この方式は、蓄熱時間が夜間に限定されているために夕方以降になると暖房効果が低下するので、部屋の断熱性能対する配慮が必要となります。また、暖房をしたい部屋が不確定な場合には、注意が必要です。次に温水式の場合には、施工性の向上と配管より の漏水を防ぐために、銅配管(ロー付け)にかわって、シームレス(継ぎ目がない)配管が多くなって来ています。配管の材質は、樹脂系の配管(架橋ポリエチレン管・ポリブデン管)や特殊ゴムを使用しています。施工方法としては、大きく分けて、コンクリート内に埋設配管をするものと、下地材上の放熱パネル内に配管するもの があります。温水式の場合は、冬季の凍結に対する配慮と循環させる温水温度が、パネルの形状及ぴ施工部 位により異なる点を注意する必要があります。近年ドイツでは水管部厚さの4oのユニットパネルが開発されて立ち上がり(予熱)時間が早くなっています。


・天井放射暖房

  床暖房にかわる効果的な暖房として、天井面を利用する天井放射暖房を紹介します。住宅や事務所、聖堂、 茶室等で実用化に成功しています。天井暖房の特徴を、簡単に次にまとめます。

  @床暖房は、床面を加熱するために暖められた空気が上のほうに行く対流が多少なりとも
   起こるが、天井暖房はさらに少なく熱損失量でも有利である。
  A天井表面の温度を、床暖房より高めに設定(あまり上げ過ぎると頭が火照る)できるため
   により放射熱量が多くなり効率がよい。
  B床暖房は、床面に置く家具等で輻射面が減少するが、天井暖房にはこのような制約が
   なく、均一の暖房感が得られる。
  C天井面を加温すると、その部分より遠赤外線が放出されて、直接床面を暖めてその結果
   床暖房のような、あたかも床暖房をしているかのような効果(セミ床暖房)が得られる。
   この熱を 逃がさないようにするために床面の仕上げ材料の選定と断熱は特に重要である。


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